・2019年度予算概要から、2019年度の建設業界の市場動向を分析した
・公共事業関係費は5兆9,663億円(前年度比15.1%増)と前年を上回り、中長期的にも建設市場は堅調に成長
・防災・減災、インフラ老朽化対策等を中心に、生産性向上・働き方改革の推進に予算を投入
国土交通省の「2019年度予算概要」によると、公共事業関係費は、10月に予定されている消費税率引き上げに伴う経済変動対策と、防災・減災、国土強靱化3カ年緊急対策を集中的に実施するための臨時・特別措置が別枠で7,153億円が積み増されたため、総額は前年度を7,835億円(15.1%)上回る5兆9,663億円と、大幅な増加となった。
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建設業に関連する主な予算項目を見ると、地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援に1兆3,173億円(前年度比18%増)、「水防災意識社会」の再構築に向けた水害対策の推進に6,030億円(同52%増)、将来を見据えたインフラ老朽化対策の推進に4,882億円(同9%増)など、防災・減災対策や老朽化したインフラ対策を中心に前年を大きく上回る予算が投入されている。
また、10月に予定されている消費税率引き上げによる住宅の需要変動を平準化するために、「すまい給付金」の対象となる所得階層の拡充および給付額の引き上げ、省エネ性や耐震性等が一定の性能を満たす住宅の新築やリフォームに対するポイント制度の創設に新たに2,085億円を投入している。
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建設業界における働き方改革の推進のために1億300万円(同13%増)が配分され、適正な工期設定による長時間労働の是正や週休2日確保等の取り組みの推進が図られている。さらに、オープンイノベーション等によるi-Constructionの推進に33億円(同2.06倍)と昨年度の2倍以上の予算が投入されるなど、働き方改革と同時に生産性向上を推進する政策が強化されていることが分かる。
また、建設業の人材確保・育成に向けて厚生労働省も、建設事業主等に対する助成金として59億円(同11%増)を予算化しており、両省が連携した政策的支援が強化されている。
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国土交通省が発表している月別の受注工事高と手持ち工事高の推移を見ると、2018年11月の手持ち工事高(受注した工事金額のうち、その時点で工事が終わっていない金額)は、32兆8,441億円となり、2017年11月の33兆9,537億円よりも減少したものの、2016年11月の31兆7,939億円は上回っており、依然として高水準が続いていると考えられる。また、建設業の売上高の先行指標となる受注工事高の推移についても、2018年度は2017年度並みの水準で推移しており、2019年度についても建設市場は堅調に推移すると考えられる。
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■ヒューマンタッチ総研所長・髙本和幸(ヒューマンタッチ代表取締役)のコメント
2019年度予算を見ると、防災・減災対策と老朽化したインフラの整備に大きな予算が投入される方向性になっており、東京オリンピック・パラリンピック後の2020年度以降についても、建設市場は堅調に成長するのではないかと考えられます。
平成30年7月豪雨、北海道胆振東部地震など自然災害が多発する中で、国民の生命と財産を守るための防災・減災対策は重要な課題と認識されており、今後についても、防災・減災に関連する予算は確保されていくと考えられます。
また、2018年11月に公表された国土交通省の試算(「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」)によると、2018年度のインフラ等の維持管理・更新費用は約5.2兆円ですが、5年後の2023年度は5.5~6.0兆円、10年後の2028年度は5.8~6.4兆円程度に増加すると推計されており、インフラの老朽化対策についても予算額は上昇傾向が続くと思われます。
このような状況を鑑みると、建設業の人材不足は2020年の東京オリンピック終了後も続くことが危惧され、中・長期的なスパンでの人材確保・育成策の推進と生産性向上への取り組みが建設業各社の大きな経営課題になると考えられます。
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ヒューマンタッチ株式会社 会社概要 ——————————
●代表者:代表取締役 髙本 和幸
●所在地:東京都新宿区西新宿7-5-25 西新宿プライムスクエア1F
●資本金:1億円
●コーポレートサイトURL:https://human-touch.jp/
●ヒューマンタッチ総研サイトURL:https://kensetsutenshokunavi.jp/souken/★
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